潮誉上人の『利剣の名号』
心行寺には『利剣(りけん)の名号(みょうごう)』の掛け軸があります。
利剣の名号とは「南無阿弥陀仏」の文字の先がまるで剣の切っ先のように尖って書かれているもので、経文に「利剣即是弥陀号 一声称念罪皆除」とあるように、「阿弥陀仏の救いの御力は只一声その御名をお称えしただけで、あたかも鋭い剣をふるうかのように全ての罪を滅してくださる」という教えを表したものです。
まるで文字というよりはアート作品のようですね。何か邪気を祓うパワーのようなものを感じます。普段はこのように客殿に飾っています。
心行寺の利剣の名号は当山第28世潮誉香全上人の筆によるものです。香全上人は私の曽曽祖父にあたる人で、利剣の名号を描いた頃は兵庫県の香美町にある浄土宗法典寺さまで住職を務めていたようです。
利剣の名号、右下落款。兵庫県法典寺住職安田香全とあります。
法典寺さまには利剣の名号の石碑が今も残っています。写真は平成18年に私の祖父である心行寺先代住職が法典寺さまを訪れ撮影したものです。この時、私は同行できませんでした。いつか私も法典寺さまを訪れたいと思っています。
利剣の名号で有名なものは京都の浄土宗大本山百万遍知恩寺さまにあります空海の筆によると伝わるもので、有名な後醍醐天皇より賜ったものであるそうです。現在でも大念誦繰りを行うときは、利剣の名号をお飾りするそうです。
百万遍知恩寺の「利剣の名号」くわしくは下記リンクよりどうぞ
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